レーザー彫刻を復活させてみました

「中華レーザー、再始動。」

久々に、倉庫の奥にしまい込んでいた中華レーザー彫刻機を引っ張り出してきました。

思えば、この機械を最初に導入したのはもう何年も前のこと。今ではすっかり主役の座を降り、出番がなくなっていました。世の中には手頃で高性能な小型レーザーがたくさん出回るようになり、わざわざこの大きくて癖の強い中華製レーザーを使う必要もない、というのが正直なところでした。

実際、ここ1~2年はまったく稼働させておらず、物置の肥やしのような状態。事務所の取締役からも「もう使わないなら捨てましょう」と言われていたほどです。経営者としても、使わない機械を場所だけ取って眠らせておくのはどうかとは思っていました。でも、なぜか捨てる気になれなかったんですよね。道具って、不思議な愛着が湧くものです。

そんな折、いつもお世話になっているゆきなちゃんのお母さんから、「ちょっと彫刻を試してみてもらえないかしら」と頼まれたのです。ふとその言葉をきっかけに、「そういえば中華レーザーがあったな」と思い出し、久々に電源を入れてみることにしました。

正直、動くかどうか不安でした。なにしろ、長い間まったく触っていませんでしたし、そもそも当時から操作性が独特で、機嫌を損ねるとすぐに止まってしまう気まぐれな相棒だったのです。しかし、電源を入れてみると、なんと一発で起動。ちょっと感動してしまいました(笑)。

試しに簡単なデザインを彫ってみたところ、これが思った以上にしっかり仕上がる。久々に火を入れた機械とは思えないほどの仕事ぶりで、正直なところ驚きました。

もちろん、高価な素材に直接この機械で彫刻するのはおすすめしません。精度や焼きの深さにクセがありますし、時にはこちらの意図しない挙動をすることもあるので、お客様に納めるような正式な贈答品には向いていません。ただ、「ダメ元でいいよ」「面白半分で試してみたい」というような用途であれば、むしろ味わい深い一点物ができるかもしれません。

最近は、なんでも自動化され、完成度の高いものがいくらでも手に入る時代です。でも、だからこそ「ちょっと不完全なもの」や「癖のあるもの」が、かえって人の心に残ることもあるのではないかと思います。

この中華レーザーで刻まれた模様は、どこか不器用で、でも温かみがある。新品のスマートな機械には出せない、ちょっとした“ゆらぎ”のような味わいがあるのです。それは、私たちが贈答品を扱う中で大切にしてきた、「心を込めた手間」とも重なる部分があるように思います。

物があふれ、スピードと効率が求められる現代ですが、こうしたちょっと手間のかかる工程も、ときには見直してみる価値があるのではないでしょうか。

レーザーを再始動させてみて、改めて感じたのは「捨てなくてよかったな」という想いです。確かに、合理的に考えれば処分してしまうのが一番スッキリするのでしょう。でも、こうして思い出のある道具に再び火を入れたとき、それがきっかけで生まれる新しいご縁や、小さな感動もある。

機械も、人間と同じように「場」が与えられたときに、再びその力を発揮するのだな、とちょっとしみじみしてしまいました。

そんなわけで、今後もしばらくはこの中華レーザー君を、趣味と実験をかねて使ってみようと思っています。「これに彫ってみたらどう?」というような軽いご提案があれば、どうぞお気軽にお声がけください。もちろん、ダメになっても文句を言わない、という条件付きではありますが(笑)。

道具に第二の出番を。そんな思いを胸に、今日も旭川の片隅で、こつこつと仕事を続けていきたいと思います。